環境と音の関係性を観察する

音楽や音は人にどのような影響を与えるのか。
心地よいと感じる音楽や、テンションの上がる音楽がある一方で、退屈に感じる音楽や不快になる音楽まで、音楽には不思議な力が宿っています。

僕は20代の頃、DJをしながらこれらの疑問に答えてくれる書物を探しました。あれから10年以上たっていますが、謎は深まるばかりで今も神秘的な存在として音楽がそこにあります。今後DJをすることもないと思う(?)のでダンスミュージック以外に的を絞って掘り下げています。

写真にアップした書籍は音楽に関する内容が書かれているもののアプローチの異なる本です。

音楽の認知心理学 著リタ・アイエロ

僕たちは音をどのように知覚しまた認識しているのか。人工知能を考えるうえで認知心理学の期待は大きいと思いますし、並行して音楽の認知心理学も今後の数年〜数十年で急速に発展するんじゃないかと思っています。残念なのは内容が難しすぎて半分も理解できなかったところ。それは本のせいではありませんが、今はもっと分かりやすく最新の研究が記された書籍がありそうな気がします。
心や感情といった漠然とした概念でしか認識できなかったことが、1つ1つの事例をあげ、細かく分けて検証していく、科学や学問に身をおく方なら当然のことなのかもしれませんが、その発想自体が素晴らしいヒントであったのは確かです。

星界の音楽 著ジョスリン・ゴドウィン

恐らく上の本と一緒に読もうと思う人は少ないかもしれません。ピタゴラスやフロイトが研究していた神秘の世界は、今も音楽に存在していると僕は思っています。音楽の秘教的世界に興味があればオススメの1冊です。

と、いつのまにかレビューになってました。
この本を読んでいた頃、一般的にもDJは認知されてきた頃でクラブ以外にもカフェなどのスペースでもDJプースを設置しているお店などが増えた時期です。クラブでどうやって踊らせて楽しませるかに疲れていた僕は、ダンス以外の音楽の魅力とその可能性に惹かれていきました。ラウンジDJという言葉があります(ました?)が、僕にとってそれはDJが市民権を得て独り立ちした最初の出来事だったのかもしれません。

僕が今興味を持っているは静的な音楽の作品群です。
これらの作品の中で、例えばエリックサティの家具の音楽、ブライアンイーノの空港のための音楽、最近では日々の生活に穏やかに調和する音楽としてKITCHEN. LABELなどがあり、具体的な状況や場所が想定して制作されているものです。

その中で「サウンドスケープ」という概念はこれらを結ぶヒントになっているのではないかと思います。

作曲家 M.シェーファーが提唱する概念で,「音の風景」を意味する造語。騒音などの人工音,風や水などの自然の音をはじめ,社会を取囲むさまざまな音環境の総体をさす。それは地域や時代,季節,時間などによって変化し,どのように人に聞こえるかは,その場合によってそれぞれ異なる。

引用元:サウンドスケープ

例えば山奥で集音したものを、オフィスビルのスピーカーから流すと人は何らかの違和感を検知するように、聞く場所や状況でも受け取る音の印象は変化します。

具体的な音楽作品と場所の関係性については、学術的な研究でもまだまだこれからだと思いますが、直接人体に影響を及ぼすものなのならば、理屈はわからなくても体験的に知ることは可能です。
エリックサティの家具の音楽、ブライアンイーノの空港のための音楽などもきっとそのような体験が反映されたものではないかと思っています。

部屋のスピーカーや車での移動中など、いろいろな環境で音楽を聴ききながら自分を使って観察してみる。お店、デパートなどでBGMと一緒に観察してみる。日常から聴こえてくる音を意識的に観察してみる。
環境と音の関係性を観察して新しい発見があればいいなと思います。
まずはこの辺から見直していきたいですね。